イスラエルからヨルダンに戻って、再びサミールの運転する車に乗ってペトラに向かいます。
元々お願いしていた旅程では、今日はペトラに行くだけだったんだけど、それじゃあ移動だけの1日になっちゃうと思って、ネボ山とマダバに寄ってもらうことにしました。(もちろん追加料金を払ったけど)
「エルサレムはどうだった?」
とサミールが笑顔で聞いてきたので、楽しかったよーって答えた後に無知な質問をしてしまいました。
「サミールはエルサレムに行ったことあるの?」
イスラム教徒だからエルサレムは訪れたい場所に違いないって思ったからです。
「無いんだ。行きたいけどイスラエルがビザを出してくれない」
なんで?ヨルダンとは比較的仲が良いんじゃないの??
「理由は分からないけどね。でも俺の両親はエルサレムで生まれ育ったんだよ」
えーどういうこと?
「エルサレムは昔はヨルダンのものだった。でも6日間戦争でイスラエルになっちゃったんだ。両親はその後クウェートに出稼ぎに出て、そこで俺(サミール)が生まれたんだよ」
そっか・・・。あの聖地はつい数十年前まで自分の国だったんだよね。そういえば地球の歩き方にもそんなことが書いてあったなあ。全く関係ない日本人が行けるのに、隣国に住んでいるサミールが両親の生まれ故郷に行けないなんて・・・。
サミールがどれほど強い気持ちでエルサレムに行きたいと思っているかは分からなかったけど、ちょっと悲しくなりました。
イスラエル国境を出発してしばらくすると丘陵地帯に差し掛かり、車は上り坂を上がっていきました。
するとベドウィンと思われる遊牧民のテントを発見しました。ヨルダン(というか中東?)にはこのような遊牧民は3種類あるそうです。ファーマーとベドウィンとジプシーがいるらしい。テントの形とかで見分けられるんだって。何回も教えてもらったけど、よく分からない。ファーマーはお金を払って土地を借りて農作するらしいです。ベドウィンやジプシーはパスポート無しで中東の国を行き来出来るそうな。
へー自由で良いねーってな話をしながら、イスラエルにも行けるんだろうか?ってちょっと疑問に思っちゃいました。ベドウィンでも行けるならサミールも行けたら良いのに・・・。
色々しゃべっていたらあっという間にネボ山に着きました。入口でチケットを買ってくれて、後は好きに見てきなさいといういつものスタイル。
ネボ山はエジプトからヘブライ人を率いてカナンの土地を目指したモーセがついに力つきた山として知られています。
ローマ法王も訪問されている聖書の世界では重要な山です。
モーセはこの山からパレスチナの方向を指して
「あれが約束の地だ」
とみんなに伝えたとか。

約束の地の方向

とりあえず僕らもそちらの方向を指差して
「あれが約束の地じゃ」
みたいなことをつぶやいてみます。エルサレムに行く前に寄ったら、これから向かうぞって感じでテンションが上がって良かったのかもなあ。何しろさっきまでいたところだからね。
「あれがさっきまでいたところじゃ」
になってしまいました。
お天気はよかったけど、エルサレムや死海は確認出来ませんでした。
ネボ山には古い教会があるんだけどあいにく改修中でした。この教会にある古いモザイクは暫定的な展示室に保管されているけど、どうもありがたみが無い。やっぱり古い教会の中で見たかったな。

教会は改修中

ネボ山からの見晴らしを堪能してからまたサミールの車に乗って山の麓の街のマダバへ。マダバには世界最古の6世紀のパレスチナ地方を描いたモザイク地図があります。そのモザイク地図がある教会に30分位で到着。チケットを買ってもらって入場。小さな教会で、建物の外観も内装も特に感じるものは無かったけど、モザイク地図は想像していたよりも大きい。
モザイク地図は小さな教会の床のかなりの面積を占めています。
地図にはエルサレムもあって、聖墳墓教会も大きく描かれていました。
・・・まあ正直言うと大して感動せず。それでもこんな小さな教会にたくさんの観光客がやってくるんだからやっぱりこのモザイクには価値があるのでしょう。
チケットには「MOSAIC MAP CHURCH MADABA」と書いてありました。

マダバの小さな教会
6世紀のエルサレム

終わってみればネボ山もマダバのモザイク地図も印象に残る程のインパクトは無かったけど、はるばるヨルダンまで来て、しかも近くを通るというのに素通りっていうのは嫌だったので、立寄ることが出来て良かったかな。オプション料金30JD(約3500円)の価値はあったでしょう。

Share this:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


Comments