今日は我々のドイツでのベース基地ブレーメンに移動する日だ。ブレーメンはTが中学を卒業してサッカー留学で6年間住んでいたところだ。
朝8時頃にホテルを出てとりあえずニュルンベルクを徘徊。昨日はたどり着けなかったカイザーブルクまで散歩。高台から街を見下ろすと本当に気持ちがいい。ヨーロッパってこういう見晴らしの良いところが多いね。中世の世の中で皇帝やその側近しか見ることが出来なかった景色なんだろうなあ。ありがたやありがたや。
お城の後は聖ローレンツ教会へ。このニュルンベルクは第二次世界大戦の時に街のほとんどが破壊されたんだけど、町民たちがレンガを拾い集めて、元通りに復興した街。当然ローレンツ教会も例外ではないようで、大戦の時に破壊された写真のはがきが売ってた。十字架のキリストが空爆の被害を受けながらもたくましく立っている写真で、キリスト教信者でもないのに心を打たれたので、絵はがき買いました。50セントなり。
どうも正月のヴァチカン訪問以来キリシタンの心が芽生えてるみたい。その後中央駅の地下の肉屋でニュルンベルクソーセージ(絶品!)を食べて、いざICEでブレーメンへ。
ICEを待ってる間、隣にいた気象学者のドイツ人が話しかけてきた。最初はウェルカムトゥジャーマニーって言われただけなんだけど、ワールドカップの話題になってから話が盛り上がった。ブラジルに2点差以上で勝たないと駄目なんだって言ったら、絶望的な表情をしてくれた。表情が豊かすぎるよ。絶望感が伝わり過ぎ!そんなに悲観的にならないで!まあ、客観的に見ればそれが現実だよね。僕はあくまで盲目的に信じて楽しむけどね。
ICEに乗り込んでもそのお兄ちゃんとテーブルを挟んで向かいの席だったので、交流が続いた。最初は僕らの持ってたKICKER(サッカー雑誌)を読んでたけど、途中から日本から持っていったNUMBER(もちろん日本語)を見せて日本語をレクチャーしてあげた。74年の西ドイツVSオランダのページで「西ドイツ」を指して、これはドイツを意味してるのか?って聞いてきた時にはさすが学者さんって思ったね。「西」がウェストで「ドイツ」がドイツって意味だよっていうと、すかさず「オランダ」を指して、これがオランダだね?って理解してた。中でも何故かカタカナの「ラ」に興味を持ったようで、ページの中に「ラ」がないか必死に探してたけど、残念ながら見つからなかった。カタカナって外来語とか固有名詞くらいにしか使わないから意外に少ないのね。
そんな感じでわいわいやって、3時間くらいでハノーファーに着くはずだったのに、なんと霧と雨の影響で4時間半もかかった。予定の1.5倍だ。ドイツって鉄道王国のイメージがあるし、ラテン系と違って時間にも正確な国民性かと思ったけどそうでもないみたい。
でも微笑ましかったのは、遅延のアナウンスが入るたびに乗客のみんなはイライラせずに声を出して笑うの。もちろんあきれてるっていうのもあるけど、いたっておおらかで、まあいつかは着くんでしょって感じだ。もしかしてドイツってラテンのノリなのか??それともやっぱり日本人があくせくしすぎなのかな? 90分遅れでハノーファーに着いて、RE(急行みたいな電車)でブレーメンへ。ハノーファーまでの車窓は丘陵地帯が広がってたけど、ハノーファーからは突然平ぺったい土地になった。海が近づいてきてるからかな?
ブレーメンはあんまり観光地ではないせいか、それともワールドカップ開催地じゃないせいかわからないけど、外国人ウェルカムな雰囲気とはちょっと違うものを感じた。生活感たっぷりという感じ。まずはTとTの家族が泊まっているアパートホテルにいってちょっとゆっくりしてから、コインランドリーに洗濯へ。
洗濯が終わるまでむかいのアイスクリーム屋でジェラードをほおばった。店員がジェラードを持ってきた時に
「prego!」
って言った。お、もしかしてイタリア人かな?気がつけばお店の名前は「FERRARI」だ。こりゃー間違いない。食べ終わった後に1月にローマに行った時に覚えた
「Era tutto buonissimo!(とても美味しかったです)」
を使ってみた。頑固そうだった店の親父さんと店員さんの顔がほころんだ。Tはドイツ語話せるし、僕はイタリア語が話せると勘違いしたようでフレンドリーな会話が弾む。その時僕は日本代表のユニホームを着ていたので、W杯を見に来たのは分かったみたいだけど、代表ユニがドーハ時代のユニだったのでどこの国の人間か分からなかったらしく「KOREA?」「JAPAN?」ときた。すかさず「JAPAN!」って言うと、哀れんだ顔をしてブラジルに勝つのは大変だよー、って忠告してくれた。ハイ、分かってます。大変ですよ、そりゃ。
アイスを食べ終わっても、洗濯が終わらなかったので、WESER川の土手でゆっくりした。ワゴン車の屋台でジュースを買うと、屋台のおばちゃんにひょんなことから簡単な日本語をレクチャーすることになった。数字の1から5まで教えてあげるとかなり混乱したご様子。おばちゃんはトルコ人だったのでトルコ語で1から5まで教えてもらったらこっちも混乱した。言語による相互理解は失敗に終わったけど、何気ないやりとりがとても楽しかった。ワールドカップとは全く関係ないんだけど、なぜかこれもワールドカップって感じがしたな。ちなみにこのおばちゃん、アルパイのことももちろん知ってた。浦和でプレーしてたんだよって教えたら、
「知ってる。今はイスタンブールにいるよ」
って教えてくれた。サッカーってほんとにワールドワイドで素晴らしい!
今日のドイツ語:Tschuss(バイバイとかじゃあねって意味。老若男女問わずみんながチュース!って言います。世代も性別も越えた挨拶です。日本でおばあちゃんがじゃあねって言ったり、女子高生がごきげんようなんて言ったらちょっと違和感あるよね。)
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