トリノの北に位置するイヴレアのカーニバルはオレンジを投げ合うお祭りでとてもユニーク。その存在を知ってから、一度は行ってみたいと思っていたのでついに今年行ってきました!
カーニバルそのものは1週間くらいあるのだけどオレンジを投げ合うのは最後の日,月,火の三日間らしい。平日は行けないので必然的に日曜に行くことに。この日は多くの観光客が訪れるので街に入るにもチケットが必要になります。
ということで混雑必至なので今回は車ではなく電車でGO。
駅に着くと駅前にたくさんの出店が出ていて赤い帽子を売っています。この赤い帽子をかぶることで「オレンジ戦争に参加していない」ということをアピールしてオレンジのターゲットにならないようにします。
もちろん流れ弾をくらうリスクはあり。奥さんは事前にマーケットで安いニット帽を買っていたので、僕だけ観光客向けのイヴレアのロゴ入りの妖精がかぶるような細長い帽子を購入して街中へ。
街中に入っていくと何やら炊き出しのようなイベントが行われてました。とりあえず並んでみる。自分たちの順番になって、値段を聞いてみるとタダとのこと。もしよければ寄付を。ということだったので数ユーロ寄付していただきました。
配っていたのは豆のスープでした。これもカーニバルの一環で、昔の領主が圧政をしていた時に貧しい民にわずかな豆を配ったそうです。これに起こった市民はその豆を領主に投げ返したんだそうな。だから豆は抵抗のシンボルなのですね。ありがたくいただきます。
トリッパみたいな内蔵系も入っていて結構重かった。二人で一皿で十分でした。
さらに街を進んでいくと広場に出た。がっつりオレンジが積まれていてオレンジ戦争の準備万端という感じ。
何かイベントが始まりそうなので広場で待っているとラッパ隊がやってきた!
そして綺麗な制服を着た「政府軍」的な人たち空砲を放ったりして何かしらの儀式を始めた。
程なくして市庁舎からMugnaia(ムニャイア)登場。イヴレアの伝説では当時の為政者がとんでもない暴君で、結婚する娘は初夜をその暴君と過ごさなければならないという法律があった。
そんな法律の下、Violettaという女性がその暴君と初夜を過ごさなければならなくなった際、彼女は暴君の首を落として民衆に掲げて暴動が起こり、あっという間に城は落ちたそうな。そしてこのViolettaは豆と同様に反乱のシンボルとなった。当時イヴレアには小麦の製粉場が多かったことからViolettaのことを製粉所の娘「Mugnaia」と呼びカーニバルの象徴となったのでした。
なのでMugnaiaはこのカーニバルの最重要人物です。カーニバルではその暴君勢力の馬車に反乱市民がオレンジを投げつけて攻撃します。暴君側もオレンジを投げて応戦するというお祭り。
いや・・改めてこうして説明を書いていても何故オレンジ?と不思議で仕方ありませんが。ピエモンテなんだからリンゴはどうですかね?硬すぎて危ないか。
Mugnaiaが何かをするのかと思いきや車に乗って颯爽とどこかに行ってしまった。この広場のイベントも終わったようなので先に進む。すると着々とオレンジ戦争の準備が進められていく。政府軍役の人たちがのる馬車が町外れに続々集合。
オレンジ戦争までもう少し時間がありそうなので公園の屋台でポルケッタのパニーニを食べて腹ごしらえ。
パンク音楽をガンガンかけてる屋台があってそこにオレンジ戦争参加者がたくさん集まってる。みんなパンクスの装い。イタリアでは普段あまりパンクスを見ないのに、こんなにたくさんのパンクスが・・。イヴレアの人たちだけでこんなにパンクスがいるとは到底思えない。イタリア各地から駆けつけてるんじゃないでしょうか。そもそもパンクとは権力者に対する抵抗なのでこのカーニバルのコンセプトとぴったり合うわけです。
パンクやハードコアは若い時ずいぶん聞いていたので懐かしく聞いていたら、一人から声をかけられた。
「どこから来た?日本!ワオ。あいつはイヴレアじゃ知らない奴はいないくらい有名なディスコバーの店長だぜ」
と、紹介してくれたのでツーショット写真お願いして撮ってもらいました笑
腹ごしらえを終えてオレンジ戦争観覧場所へ。去年のカーニバルに来た会社の同僚からおすすめ場所を聞いていたのでそこで待機。
気づくと向こうにすでに馬車がやってきていてオレンジを投げ合ってる!開始のゴングとかなくていつのまにかしれっと始まるんだ!しかもスッゲー激しい笑
2台の馬車が通過した。いやー凄い迫力。暴君チームは防具をつけているけど、反乱市民チームは防具なしです。
馬車が通過するとみんな転がってるオレンジを拾い始めた。次の馬車の襲来に備えているようです。
続いて第二陣がやってきた!ビデオを撮ったのでその興奮をどうぞ。僕も三発被弾して悲鳴が収録されています笑
被弾してからしばらくはネットの後ろに避難しました。しかしそれにしても・・・めっちゃくちゃ面白い!
ちなみに僕が被弾したのは政府軍が投げたオレンジではなく、馬車の反対側にいる反乱市民軍のオレンジと思われます。味方にやられてるじゃん笑
30分くらい堪能してから別の戦場(広場)も行ってみることにした。
街中はさっきまでいた広い駐車場と違ってかなりカオス。人がぎゅうぎゅうだし、細い通りはオレンジのカスと馬糞がミックスされて柑橘系のウンチの香りというなんとも言えない臭い匂いが充満しています。
広場と広場の間で待機する政府軍に一対一の戦いを挑む猛者もちらほら。その場合は政府軍の人も防具を外して戦います。まさに狂気。そしてひとしきり投げ合った後はお互いの勇気を讃えるという・・完全に理解不能の領域です笑
市庁舎前の広場は人が多すぎてよく見えない。まあネットから出れば見えるけどそれは危険すぎる。
ということで隣のポルティチ(アーケード)付きの広場へ。こちらは臨場感はやや欠けるけど、安全にゆったりと見られます。
駐車場と2つの広場で観戦して十分楽しんだので喧騒を離れて丘の上のお城前の広場まで散歩。
さて、そろそろ電車の時間も近づいてきたので駅に向かいますかね。
行きとは違うルートでポンテ・ヴェッキオ経由で帰る。もうオレンジ戦争も終わってるので帽子も外して橋を渡っていると、周りの人から「帽子を被った方がいい」と忠告されました。
え?あ、まだ被った方がいいですか?って感じで一応被る。
すると端の向こうの地区ではまだ最後の馬車が戦ってた。・・・が、他の地区とどうも勢いが違う。無茶苦茶激しい。
そして最後の馬車が去り、ああ今度こそ終戦と思いきや・・・
帽子を被っていない観光客が反乱市民から襲撃されました!僕らは帽子を被ってたけど近くにいたので僕らも若干被弾。
他の地区はそんなことなかったのに、ここの地区は明らかに観光客と分かっていても、自分のチーム(緑と赤)の服を着ていなくて、赤い帽子を被っていない人は敵とみなすようです笑
そして何発かオレンジをお見舞いして「Scemo!(バーカ!)」と揶揄うのです。
だからさっき橋の上で周りの人が帽子を被るように忠告してくれたんだな。
下を見るとオレンジのカスの量も他と比べても尋常じゃない。オレンジ(と馬糞)が20センチくらい積もってます。ということで街の南西地区のポルトガルの国旗みたいなカラーの地区はヤバいです笑
ということで、大興奮のイヴレアのカーニバルでした。来年もまだトリノに住んでたら来たい!
長靴、レインコートを忘れないようにしないと。
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